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米韓FTA5年(4)「保険分野も自由化」

米韓FTA5年(4)「保険分野も自由化」

医療格差 拡大の懸念
 韓国・ソウル市のはずれ、古いビルに入る聖水医院。狭い待合室には高齢者の姿が目立つ。院長の禹錫均(ウ・ソッキュン)さんは、患者にまずこう尋ねる。「民間の医療保険に入っていますか」。加入の有無や内容で、受けられる医療サービスが大きく異なるためだ。

公的保障は6割 弱者低サービス 
 日本と同じ国民皆保険の韓国だが、公的な医療保険の保障率は6割程度。8割以上の日本と比べて低く、「低保険料、低給付、低診療報酬」と言われる。そのために自己負担分や、適用外の診療費をカバーする民間の医療保険が普及した。医療機関は、どの範囲の医療を提供できるかを確認する必要がある。

 禹さんによると、民間医療保険の加入率は0~50歳で8割。ただ60歳代以降は大きく落ち込む。加入者が支払う保険料は公的保険料の約3倍との統計もあり、「民間の保険は低所得層や高齢者が入りにくい。保険料も値上がりしていて、収入がなければ高い医療サービスは受けられない」と訴える。

 米韓FTA(自由貿易協定)の対象は、農産品や自動車の関税撤廃だけでなく、サービスや投資の自由化も含まれる。医療保険市場も例外ではない。

 米国には全国民が対象の公的医療保険制度がなく、医療保障は民間保険が中心。米韓FTAの反対派は、こうした米国型の自己責任の制度に移行し、公的医療保険が縮小され、国民の医療格差が広がることを懸念する。

規制緩和加速で株式会社病院も 
 韓国内では、株式会社が営利活動として運営できる「営利病院」の存在など、医療分野での規制緩和が加速している。市場拡大で過剰診療や医療費増加の問題が起きているが、ソウル市内の40代の総合病院院長は「公的な医療保険だけでは診療報酬が低い。保険外診療は経営に必要」と本音を口にした。

 政府はこうした変化は2000年代に入って進む国内政策であり、米韓FTAの影響と無関係とするが、医療従事者でつくる「健康権実現のための保健医療団体連合」は否定する。複雑な協定の性格上、国民だけでなく医師らにも影響が見えにくいという。

 公から民への流れの中で、より報酬の多い先端医療だけを行う病院が増えれば、聖水医院のように保険適用内の患者が多いと経営は厳しい。しわ寄せは社会的弱者に向かうため、医療制度のゆがみは大きな課題だ。

 国民皆保険の医療など共通点が多い韓国と日本。しかし、禹さんは語る。「韓国の官僚は、このままの日本的な社会体系では発展せず、米国的な政策を取り入れるべきだと考えている。FTAをそのきっかけにしようとしている」。急速に変化する韓国社会の姿は、これからの日本の在り方を問い掛けている。(安田義教)

写真=規制緩和の加速で国民の医療格差拡大が懸念されている(ソウル市内の聖水医院)

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