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米韓FTA5年(2)「『米豪産』4割増」

米韓FTA5年(2)「『米豪産』4割増」

縮む韓牛、農村疲弊
 「ここからも500人がデモに参加した。ソウルにトラクターで向かったんだ」

 韓国の南西部、全羅北道にある益山(イクサン)市。ここで、日本の和牛に当たる肉用牛「韓牛」とコメを育てる呉相魯(オ・サンロ)さん(59)は、農業会館の壁に張った朴槿恵大統領(当時)の退陣デモの写真を指さした。

 昨年11月のデモには、多くの農家も地方からソウルに集まった。生産過剰によるコメの価格下落、都市と農村の所得格差など農政への不満が底辺にある。

価格は3割低下 農家戸数も半減
 韓牛を250頭、水田50ヘクタールを複合経営する豪農の呉さんだが、表情はさえない。育てた牛の市場価格が昨年夏より3割落ちたと嘆く。

 米国とのFTA(自由貿易協定)発効で、最も影響を受けた農業品目の一つが韓牛だ。米国やオーストラリアというFTAを結んだ国からの輸入牛肉は、この5年間で4割増加。韓牛の生産は減少傾向にあり、自給率も低下している。

 FTAに当たり韓国政府は競争力向上を目指した。廃作奨励金制度で小規模農家の「退場」を促し、大規模化を後押しした。その結果、13、14の両年で全体の1割に当たる約1万5000戸が廃業し、2010年には17万戸あった韓牛農家戸数が半減した。

大規模集約化 競争力上げず
 ただ政府の思惑通りに、競争力の向上にはつながっていない。特に子牛を育てる繁殖農家が減ったことで、出荷まで育てる肥育農家にも影響が出て生産基盤や相場が不安定になった。

 口蹄(こうてい)疫が発生しているため牧場周辺の取材は避けたが、益山市内では廃作奨励で3割の農家が韓牛生産を止めた。都市部に人口が流出し、学校も廃校になるなど地域が疲弊している。呉さんは「農村の共同体が崩壊していく」と実情を語った。韓牛産業の全体が縮小している印象だ。

 ソウル市内の大型スーパー。食肉売り場の中心に位置するのは韓牛だが、客の足は脇にある輸入牛肉の前で止まる。価格差は韓牛の2分の1程度。3歳の子を連れた母親(36)は「以前は国内産を選んでいたけど、これから教育費も掛かるし最近はオーストラリア産を買っている」と話した。

 農家のコンサルタントなどを行う韓牛自助金協会の金昌皓(キム・チャンホ)部長は、消費者の意識の変化を指摘する。BSE(牛海綿状脳症)発生後は米国産牛肉への抵抗があったが、徐々に薄れてきている。

 先の呉さんは「アメリカは発効翌日から、見直しの交渉を進め、関税引き下げを求める」と日本の農家に警鐘を鳴らす。金部長は、現在8万5000戸の韓牛農家が6万戸程度まで減る予想も立てる。

 生き残り策を聞くと、「生産費を下げて良い牛を育てて安く売るという基本しかない。これが難しいことですけど」と語り、ため息をついた。
(安田義教)

写真=輸入牛肉が並ぶソウル市内の大型スーパー。FTA発効後、オーストラリアや米国産の牛肉消費が増えている

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